| 2005年2月10日(木) |
日本物流新聞 |
中部の機械工具商社がモノづくりの街「東大阪」を訪問
総合的支援を視察 |
■■中部地区の機械工具商社22社の代表が2月4日、モノづくり支援拠点として注目を集める「クリエイション・コア東大阪」(東大阪市荒本)を訪問、産学官連携や人材育成など、同施設を活用した総合的なモノづくり支援の取り組みを視察した。■■
クリエイション・コア東大阪は、昨年8月にオープン。近畿の13大学のサテライトオフィスやインキュベートルームのほか、常設展示場などを備え、技術・特許・経営相談から産学官連携支援、モノづくり人材育成など、モノづくりを総合的に支援する全国でも注目されている施設だ。
同一行は、はじめに大阪産業大学工学部教授の山田修氏による講演を受講した。山田教授は、「大学が始めたモノづくり−次世代エネルギー・環境ビジネスへの挑戦」をテーマに、大学発ベンチャーとして自ら設立したオーエスユーとの連携、開発テーマの超高温過熱水蒸気発生装置など実験を交え、講演。起業家精神の重要性などをアピールした。
次いで、大阪産業振興機構東大阪分室参事・下田正憲氏が、大阪の製造業の現況を紹介するとともに、「魅力ある製造業に変革する」ことを目指した総合的な支援機能を備えた同施設の役割について説明した。この後、同氏の案内で施設内を見学。東大阪で独自の技術力やアイディアによる製品や技術に触れ、好評を博した。参加者からは、「中部地区は現在勢いがあるが、モノづくりのノウハウが蓄積した東大阪の底力を実感した」との感想が聞かれた。 |
| 2005年1月1日(土) |
日本物流新聞 |
−視点− 東大阪が熱い!
大学から生まれる次世代ビジネス / 人材育成に真価が |
■■今日まで大学の2本柱は「教育」と「研究」であったが、21世紀に入り大学を取り巻く環境は激変した。多くの大学で蓄積した研究開発成果や社会貢献とか地域への還元、あるいは地域に開かれた大学ということが叫ばれるようになった。国では科学技術基本法が制定され、総合科学技術会議が創設された。この中では科学技術創造立国を目指して2001年3月に第2期科学技術基本計画が閣議決定された。■■
内容は
@世界最高水準の科学技術創造立国の実現 A政府研究開発投資の拡充 B世界最高水準の科学技術の実現(ノーベル賞受賞者を50年で30人) C科学技術の戦略的重点化(ライフサイエンス、情報通信、環境、ナノテクノロジー・材料の重点4分野) D競争原理の促進(競争的研究資金を5年で倍増) −を挙げている。また産学官連携の推進を積極的に押し進めると供に地域科学技術の振興として産学官による大学発ベンチャー(5年で1000社)構想や、中小企業の技術開発に加えて地域クラスター構想も述べられている。
一方、大阪産業大学での「産学官連携」の取組は、そのような国の施策に沿う形で数年前から始めたわけではない。数十年の長い取り組みの結果、紆余曲折を経て、最も良いと思われる形になりつつある。すなわち、「教育」「研究」「産学官連携」の3つの柱がお互いに独立して歩むのではなく、連携することで相乗効果を生み出すことが分かってきた。例えば本学には学生社長のベンチャーが設立されている。彼らは、学生として大学で「教育」を受ける一方、そのベンチャー企業が主催する講習会では社会人受講者相手に「教える」立場も経験する。我々はこれを「共・育」と名付けており、学生が学ぶ立場と教える立場の両方を経験する事によって、いかに教えることが難しいか、あるいは教えるためには狭い範囲の知識だけを知っているだけでは通用しないことを、身をもって経験するのである。すなわちTeaching is learning を実践することで、なぜ学ぶ必要があるのかといった教育の本質的な問題まで含めた答えを教員側が一方的に押しつけるのではなく、学生自らが体験を通して会得するのである。これからの大学のあり方の一つとして、大学が学生に教育するといった一方通行ではなく、学生に「共・育」の機会を提供することを主体にする大学が出てきても良い時期だと考えている。以前に実施された大手企業103社CTO(最高技術責任者)に対するアンケートにおいて、日本の研究開発環境の競争力に関する質問で、83.4%が「学生の教育体系に課題がある(あるいは劣っている)」と回答し、「良い」とこたえた企業は0%であった。なかでも多くの企業が「即戦力になる知識・技術を持った学生確保が困難」と答えている。
これを改善するためにはどのような方法が適切であろうか?−個の問題に対して、大阪産業大学が出した答えの一つが大学発ベンチャーの創生である。(株)オーエスユーは、学校法人大阪産業大学と教員の出資により設立した閣内初の純大学産ベンチャーである。大学関係者だけの出資に限定することで、営利を第1目的にしない社会企業(Social Company)を理念に、大学の有する知的財産の社会的還元や、開発途上国を含む全世界へ目に見える形での具体的な技術援助、21世紀を担うアントレプレナーシップ(起業家精神)を有する人材育成の場となるよう活動している。2000年の設立当初は新素材に関する研究開発成果を駆使して大学と企業間の橋渡しをする「技術インキュベータ」というハード的役割を担う目的で設立したが、出資した大学自体が積極的にバックアップする純大学産ベンチャーの特性を活かして、学生に対して大学と異なる実践教育の場を提供する「人材インキュベータ」にも取り組んでいる。すなわち、大学発ベンチャーを学生が利用して、学生自身が製造したものが商品となることで深い感動を生む、学生の起業家精神の育成、卒業生や社会人に対する再教育の場として機能などの効果を生み、最終的に学生の勉学へのモチベーションを高める効果をもたらし、人材育成という大学が果たす社会的役割において益々重要な位置付けとなっている。より多くの卒業生が企業や社会において、21世紀を担うアントレプレナー型エンジニアとして活躍することを願っている。
教育はビジネスになじまないというのが通説になっているが、それでも特区構想から株式会社○○大学が日本に誕生した。次世代に対応した発想力や想像力を有する人材育成はどうするのが良いのか、大学もその教育力や変革力などを含めて、社会が本当に大学を必要としているのか、その真価と存在意義が問われている。大学から生まれる次世代ビジネスは、バイオやナノテクなどに代表される先端技術でなく、むしろ今までの教育を根本から変えるようなプログラムを用いた人材育成であるかもしれない。 |
| 2004年11月19日(金) |
日刊工業新聞 |
大阪産大クリエイトセンター「電気自動車を試作」
一人乗り 燃料電池だけで駆動 |
■■大阪産業大学クリエイトセンター(田中武雄センター長)は、燃料電池を動力に使う一人乗り電気自動車の開発にめどをつけた。■■
試作車を完成させており、デザイン、車体に見合ったモーターの開発で自動車部品メーカー各社の協力を得て商品化につなげる。
試作車は、光岡自動車製の車体に1ボルト直列の燃料電池24個と水素に水蒸気を混ぜる加湿機、24ボルトを48ボルトに昇圧する装置などを搭載。大学構内を時速20キロで試走し、燃料電池だけで駆動する車の開発にめどがついたという。
実用化に向けて車両に見合ったモーターの開発が課題となりマイウェイ電気と新型モーターの開発を進めている。車体デザインも協力の申し入れがあり、フレームやサスペンションなどは自動車部品メーカーの協力を求める。
燃料電池に使う水素は同大学発ベンチャーの(株)オーエスユー(山田修社長・同大学教授)が供給する。山田社長がもつ高温過熱水蒸気システム技術を基本に開発した水素発生装置を使う。
同大学の浜田耕治講師、同短大才原篤講師、中平保雄助手を中心に学生も参加して03年4月、電気自動車プロジェクトを立ち上げた。環境に優しく低価格で扱いやすい乗り物を目指し開発している。 |
| 2004年秋号 |
日経 大学・大学院ガイド |
30年来の夢を実現し、起業準備に奔走中
講義はもちろん発売キャンペーンの実地研修も/アントレプレナー専攻 大岩武博さん |
■■「本当は大学院に進みたかった」。31年前の大学卒業当時の思いをこう回顧する大岩武博さん(54歳)は2004年4月、大阪産業大学工学研究科アントレプレナー専攻に入学した。「経済的な理由から大学院進学を断念し、社会に出て30年。捨てきれなかった夢に挑戦してみたいと思ったのです。それに起業家を目指すプログラムの内容や家から1時間以内で通学できる立地条件もよかった」。これが歳50を越えてチャレンジに踏み切った理由だった。■■
【月曜から土曜まで、12時間を研究室で】
新聞広告で大阪産業大学大学院のことを知り、入ることを決意した当時、大岩さんは油圧空圧器の商社でセールスエンジニアをしていた。「一度は働きながら勉強できないかと考えましたが、どっちつかずになるのは避けたいと思い」、「修士課程の2年間を支える蓄えもあり、今なら自分で責任がとれますから、辞めることに不安はなかったですね」と大岩さんは言い切る。
大学院生になってからは生活はガラリと変わった。月曜から土曜まで12時間を大学の主に研究室で過ごす。
大岩さんが掲げるテーマは3つある。30年の営業技術畑で培ったキャリアを活かした「油圧機器を利用した自動機械の設計・製作」「高機能セラミックスの研究開発および製造販売」そして「大学研究シーズの紹介」である。これらはそのまま、起業する会社の業務内容にする予定だ。「講義は出来るだけ多く受けるつもりですが、まず前期は表面処理、システム工学などで、設計や強度計算を中心に習っています。機械の設計図を引く場合、強度を無視して構造だけ描くと、実際の機能とかけ離れていくことがありますからね」と、履修科目にも起業に照準を合わせて選択した。
理工学部出身だが世代的な事情もあり、コンピューターは大きな壁となった。「実業家で第2創業を狙っている70歳代の同級生と一緒に、機械工学の1回生が受ける基礎講座でワードとエクセルの基本操作を習っていますが、何とか2カ月間で若い皆さんに追いつけました。当初は苦労しましたが、パソコンが使えないと仕事になりませんから・・・今は起業準備の報告書などにも使っています」というまでに上達した。
【アントレプレナーへ事業開発を実体験】
現在「高機能セラミックの研究開発および製造販売」の事業化プロジェクトに奔走中だ。「製品パッケージのデザインの打ち合わせから取扱説明書の作成などにも関わっています。この製品は、山田修教授が研究されている燃焼合成セラミック多孔質体を応用した銀イオン水『大銀穣(だいぎんじょう)』と命名され、消臭・抗菌剤として販売することが決まりました。7月に大阪と神戸の東急ハンズで販売キャンペーンを展開したときは、私もアテンド役として商品説明をしました」。何事も実践という姿勢である。
大阪産業大学は大学初のベンチャー企業を設立したことでも有名だ。その第1号企業「(株)オーエスユー」の社長を兼務する研究開発センターの山田教授や販売元企業となるアドバンスを師に、大岩さんは商品化プロセスを学んでいるわけだ。「私のようにゼロから出発する者にとっては、新規事業を進めていくプロセスに参画させてもらえるのは貴重な経験です。これがなければ、製品をどう販売していいのか分からず、ウロウロするばかりですから」と大岩さんは満足気に微笑み、「もう次の製品化プロジェクトが決まっていて、休む暇がありません。講義が休みになる夏休みは、びっちりと勉強、実地研修に充てるつもりです」といって、起業をめざす目を輝かせてた。 |
| 2004年8月5日(木) |
朝日新聞 |
「ハンズ大賞」の手作り作品募集 |
■■「手で考えよう。手で見つけよう。・・・・・」をテーマにした第19回ハンズ大賞の作品募集が始まった。■■
締め切りは11月30日(必着)。
前回の第18回には全国から2701点の応募があり、府内の大阪産業大学山田修研究室一同2名による「塩の木」が審査委員特別賞(浅井慎平賞)に輝いた。
食塩にセラミックス多孔質体を浸けておくと、食塩水が吸い上げられ、水分が蒸発して表面に塩のオブジェができる作品だ。 |
| 2004年8月5日(木) |
日刊工業新聞 |
銀イオンで消臭・殺菌/オーエスユーとアドバンス |
■■水補給し再使用■■
大阪産業大学発ベンチャーのオーエスユーと、アドバンスは共同で、消臭、殺菌、抗菌効果がある銀ペレット入りスプレー「大銀穣」を完成した。アドバンスが販売する。価格は3800円。
銀ペレットはチタンと銀を合成した特殊な多孔質材料で容器にペレット1個と500CCの水を入れ、その液体をカビなどの発生しやすい場所に噴霧して使う。ペレットの大きさは直径20ミリ×厚さ10ミリメートルで、水の中に入れると消臭や殺菌効果がある銀イオンが放出される。
塩素系薬品と違い皮膚への刺激性やにおいもなく、特にレジオネラ属菌に対して強い殺菌効果がある。また、水を補給するだけで100回も再使用でき経済性に優れている。
ペレット状の多孔質材料は、山田教授が87年に確立した「燃焼合成法」を利用。これは複数の素材を合成する時に発生する2000度C以上の科学反応熱で不純物を気化し、高純度の多孔質体を作り出すもので、今回はチタンと銀の多孔質材料を商品化した。
オーエスユーは00年12月設立。燃焼合成法で作製した多孔質素材の用途開発を他企業と探っている。今回は環境・健康商品の開発販売を手がけるアドバンスと提携した。 |
| 2004年7月23日(金) |
大阪日日新聞 |
シーズ生かす純大学発ベンチャー |
■■大阪産業大学発のベンチャー企業。開発した新素材「セラミックス多孔質体」の特性を活用し、企業と連携して消臭スプレーや芳香剤などの新商品を生み出している。■■
同大工学部の教授でもある山田修代表はさまざまなセラミックス多孔質体の製造方法や、その応用技術を開発しており、20以上の特許を取得してきた。
「この技術シーズ(種)を社会還元するとともに、大学とは異なる教育機会を学生に提供できるようにしたい」。山田代表は、外部の資金を入れずに大学だけが出資する「純大学発ベンチャー」を大学に申請した。全国でも前例がないため、理事会に納得してもらうための資料やデータを用意し1年かけて説得。2000年12月に同社設立にこぎつけた。
開発したセラミックス多孔質体には金属並みに高い電導性、スポンジのような吸水性などの特徴がある。このうち、銀を燃焼合成して開発した多孔質セラミックスから消臭・殺菌効果がある「銀イオン」が水中で溶け出すことに着目して開発されたのが「セラミック触媒ペレット」だ。
セラミック触媒ペレットは、東大阪市の企業と連携し、水周りの悪臭などを抑える消臭スプレー「銀イオン水」として商品化された。スプレーのボトルに水を継ぎ足せば100回まで繰り返し使えるため、環境に優しい商品として、今月から東急ハンズで実演販売が始まった。
また内部が親油性、表面部が親水性の多孔質セラミックスも開発。アロマオイルを垂らせば内部に吸着され、表面が水のバリアーになるので蒸散を抑えられる。こちらも東大阪市の企業と連携して、香りを持続させられる長寿命天然芳香剤として販売中だ。
山田代表は「核となる商品を作り出し、その収益で世界中に安全な水を供給する仕組みを構築したり、将来の社会に技術的に貢献したい。同時に、21世紀を担う力のある若い人材を育てていきたい」と抱負を語る。 |
| 2004年6月20日(日) |
読売新聞 |
大産大と民間組織連携/教育から起業一環支援
|
■■大阪産業大学の大学院工学研究科が民間のベンチャー育成施設、京都リサーチパーク(KRP、京都市)の人材育成ノウハウを導入し、起業家育成を目指した教育プログラムを進めている。修了後に起業する場合は、KRPが後押しする。教育から起業まで一貫して支援する日本では初めてという産学連携の取り組みだ。■■
【学生の事業計画 修了後に実現も】
この教育プログラムを開発したのはKRPの産学ビジネス部EBSセンターだ。副所長の中川普巳重さんは「講義中心のカリキュラムではなく、新製品やサービスの開発に向け、具体的な課題を設定し、起業を体感してもらうのが特徴」と話す。課題に弁当屋を選んだのは、無店舗、移動店舗のほか、手作りか、大量生産かなど限りない事業展開が考えられ、頭の体操にうってつけだからという。
EBSセンターは起業家の育成だけでなく、企業の新規事業支援も請け負う。所長の長本英杜さんは「新規事業を立ち上げる人材の育成は、起業家を育てるのと同じ。新規事業も起業家精神がなければ務まらない」と共通点を説明する。
KRPとの連携は、大学にとっては、人材育成のアウトソーシング(外部委託)だ。中心スタッフの山田修教授は「教員は各分野の専門家であり、学生が立てた事業計画を、より具体化させるのが役目だ。企業のノウハウを教える段階で、プロの力を借りられるのは大きい」と産学連携の意義を強調する。
KRPが、国内有数のベンチャー育成施設であることも大きい。修了時に起業の意志があれば、事務所の間借りをはじめ、事業が軌道に乗るまで、面倒を見てもらえるからだ。
もっとも、すべての学生が、入学時点で起業の意志を固めているわけではない。門本さんは地元にある門本鉄工所の二代目。事業は金属加工が中心だが、最終製品を手がけるのが夢だ。大岩さんは過去に断念した大学院の夢を実現した。販売会社の起業を準備しつつ、「研究開発にも取り組みたい」と目を輝かせる。それぞれの思いの結実に向け、KRPの後押しも欠かせない。 |
| 2004年6月17日(木) |
日経産業新聞 |
大学出資VBの草分け |
| 「例の燃料電池用電極ですが、もう少し導電率を上げられませんか」。大阪産業大学内の狭い本社で、自動車・家電や環境機器など全国の大手メーカーの担当者が技術相談を繰り返す。大阪産業大学発のセラミックス素材開発ベンチャー、オーエスユーは部品加工業者の集まる大阪府東部に、新素材という価値創造源をもたらし始めた。 |
| 2004年5月20日(木) |
日刊工業新聞 |
東部大阪産業界 / 独創技術で新時代を生き抜く
産業界に研究成果開放/交流事業広げる地元大学 |
東部大阪の経済活性化の起爆剤とされているのが産学連携事業。企業にとっては理工、社・文系を問わず知的財産を有する大学との交流を通じ、得意技術にますます磨きをかけたい。門戸を広く開放、地域経済との交流成果を上げている大阪商業大学、近畿大学、大阪産業大学の3大学の取り組みをみた。
■■大阪産業大学■■
大阪産業大学は、社会が求める人材教育に加えて知的財産を有する開かれた大学として、地域社会、また産業界に積極的に交流、貢献していこうという狙いで、産学官連携事業に力を入れている。とくに96年に科学技術基本計画法が制定されてから交流への認識が高まってきている。
具体的な取り組みは産学官連携の窓口を一元化して受託・共同研究、近隣商工会議所との連携強化、交流拠点の新産業研究開発センターの活発化や大学発ベンチャー企業の育成など。なかでも、03年の受託研究は金額ベースで96年度の10倍、特許保有数が17件、6社の大学発ベンチャービジネス(VB)など成果が出ている。 |
| 2004年5月20日(木) |
日刊工業新聞 |
東部大阪産業界 / 産学連携で花開く開発
多孔質セラミックス、超高密度プリント基板など実用化へ |
■■匠の技ともいえる加工技術を誇る東部大阪の産業界と知的財産を有する大学が合体、産学連携事業から幾多の話題の技術が、新製品が生まれている。その事例を紹介する。■■
アドバンスは山田修大阪産業大学教授が持つ独自技術、燃焼合成法で編み出す多孔質体セラミックスを応用開発。チタンや銀合成したペレット状の水質浄化の殺菌処理剤を商品化、インドの飲料水浄化対策を支援していく。
クラスターテクノロジー、フジキン、山本光学、大阪製作所は平尾京都大学教授らと通常の10〜20倍の高密度なプリント配線基板の開発に着手。
ユタカは松坂京都大学助教授の協力を得て、100マイクロメートルクラスのBGA(ボール格子端子)専用外径検査装置の開発に取り組む。
三庄インダストリーは、山田修大阪産業大学教授の燃焼合成法による導電性多孔質セラミックス材料を活用、1000度Cを越える過熱水蒸気発生装置を開発。自社のハニカム形状の触媒加工工程に利用。一方、研究装置用で商品化を探る。 |
| 2004年5月19日(水) |
日本経済新聞 |
大学発VBの素顔 |
■■高機能セラミックス開発■■
オーエスユーは高機能な多孔質セラミックスの開発と、様々な産業分野への応用に取り組んでいる。大阪産業大学工学部の山田修教授が2000年12月、セラミックスの燃焼合成に関する研究成果を生かして設立した。山田教授が社長を努め、設立時には大産大も出資。大学出資ベンチャーの草分け的存在だ。 |
| 2004年3月10日(水) |
日刊工業新聞 |
植物資源利用で水素エネルギー/栗本鉄工と大阪産大 |
■■栗本鉄工所は大阪産業大学の山田修教授、同大学発ベンチャーのオーエスユーと連携して、バイオマス(生物資源)による水素化事業に乗り出す。「高温過熱水蒸気発生」などの基本技術を確立しており、草木や間伐材1キログラムから1.5立方メートルの水素を取り出し、発電や燃料電池分野でビジネスを具体化する。4年後の実用化を目指す。■■
水素化事業は、オーエスユーが持つ1000度Cを越える高温過熱水蒸気発生システムを軸に展開する。栗本鉄工所が草木、間伐材の減容成形機や炭化装置などプラント製作面で協力し事業化を目指す。
独自に開発した孔径50マイクロメートル級の微細な多孔質材料を高周波加熱用ヒーターとして使用し同水蒸気を製造。草木などに通すことで発生する可燃性ガスを水素に改質する。
燃焼合成で製作した新多孔質材料は、導電性と耐熱・耐食性に優れており、山田教授らはこの多孔質体材料を企業化するため大学発ベンチャーのオーエスユーを設立。同材料と水蒸気発生システムにより、「理論値どおりの水素回収率を達成している」という。 |
| 2004年3年1日(月) |
朝日新聞 |
70歳のベンチャー |
■■シニアこそ夢かなえる■■
こんな人があちこちに現れたら、高齢化社会はうまくいく。21世紀最大のテーマ、地球環境問題にも寄与するだろう。
安川昭雄さん(アドバンス)と話しているとそんな気持ちになる。もうすぐ71歳。自宅の一室から、環境に優しい製品をつぎつぎと世に送り出しているシニアベンチャーだ。
会社を興すより手っ取り早い、と息子が経営する印刷機部品メーカー「アドバンス」に「エコ製品開発部」を新設した。 |
| 2004年2月24日(火) |
日刊工業新聞 |
産学官連携/発熱体技術組み込み/大阪産業大などと共同 |
三庄インダストリーはセラミックスなど粉粒体の加工処理システムを手がける。山本努社長は、粉体分野における14年間のサラリーマン生活を経て98年に独立。オンリーワンを志向する同社製品は高い評価を得ている。さらに「発熱体技術をシステムに組み込んで戦略を強化したい」との強い思いが、産学連携の共同開発につながった。
大阪産業大学の山田修教授との出会いが共同研究のきっかけとなった。 |
| 2003年12月10日(水) |
日刊工業新聞 |
ナノ領域 常に一歩先へ |
■■クラスターテクノロジーは直径20ナノメートルという超微細穴を集束イオンビームで開ける技法と1噴射1ピコリットルというインクジェットヘッド技術を金型分野に活用、新領域に挑戦している。■■
この技術は安達社長と大阪産業大学の山田教授が研究している最中にひょんなことから半導体関連のFIB装置を持つ田中武雄教授が技術談義に参加。「面白い装置を生かしナノテクに挑戦してみたら」と研究がスタートした。そして枠の幅が1マイクロメートルで深さ3マイクロメートル、底部の幅100ナノメートルという超微小な溝が格子状に彫られた金型に成功した。
この金型に、同社が技術確立した超微量液を振動で垂らすインクジェットヘッドからシリコン樹脂を150度C前後で流し込み、超微小・透明な樹脂成型品が生まれた。 |
| 2003年12月10日(水) |
日刊工業新聞 |
起業家専攻開設 |
| ■■大阪産業大学は04年4月に、大学院工学研究科にアントレプレナー専攻課程を開設する。ベンチャー起業家や中小企業の後継者を育成するのが狙い。■■ |
| 2003年12月号 |
月刊e・コロンブス |
IT大学レポート
起業家の育成をテーマに実践と理論を学ぶ新専攻開設 |
■■大学に蓄積された技術ニーズをビジネス化することで、新たな企業が全国で生まれている。大阪産業大学では、「社長を育てる」ことを目的としたユニークな新専攻を準備している。技術と経営を学ぶことで、起業能力のある人材を育成しようというのだ。国内初のその試みから平成の大学発のベンチャーモデルが生まれるか、大学も企業も注目している。■■
【工学科にMOTを導入 経営がわかる技術者を育成】
ベンチャー企業の創出に注目している大阪産業大学が起業家育成を目的とした「アントレプレナー専攻」を大学院工学研究科に新設。04年4月の開講に向けて準備を進めている。
同専攻のコンセプトは、ズバリ「社長を育てる」こと。日本の起業率は、他国と比べてかなり低い。そうした状況にあって、人材育成をしっかり行うことで、ベンチャー企業の創出を支援していくのがネライだ。
こうしたベンチャー社長の養成を目的とした専攻の開設は全国的にも稀有な例。実際、脚光を浴びている大学発ベンチャーの多くは、学内にある技術ニーズをビジネス化することを重視している。だが、同大学の山田教授は「シーズを生み出すだけではベンチャー企業の創出は行き詰まる。だが、起業能力を持つ人材を育てることで、継続的な起業が可能になる」と指摘している。
この他に工学研究科では“経営のわかる技術者の育成”を図るMOT(技術経営)教育にも力を入れており、それも注目されている。現在、研究開発から人材育成まで総合的なノウハウを組み合わせていくMOTの教育が盛んになりつつあるが、ほとんどの大学では、“技術の分かる経営者の育成”に力を入れている。
これに対し、大阪産業大学では工学系の専攻としてMOT教育を展開し、モノづくり(工学)を基礎に経営を学べる体制を構築。そこで“経営のわかる技術者の育成”を目指そうとしている。
【実学を重視した充実のプログラム】
「アントレプレナー専攻」で学ぶ学生の目標は、起業して社長になること。それだけに教育プログラムもユニークだ。
そのひとつが教授法。同専攻では、PBL(プロジェクト・ベースド・ラーニング)システムによるカリキュラムが組まれる。これは課題設定型の学習手法で、必要に応じて授業を開設するというもの。
たとえば、学生の中から独創的なアイディアが生まれた場合は、その時点で特許申請に関連する口座を開設して履修させる。すでに欧米で効果をあげている手法だが、国内での本格導入は同大学が初めてだ。
こうした教授法を導入することで個人で異なるニーズにも対応できる。山田教授は「自発的に研究できるので、強いモチベーションがカギになる」と利点を話している。
【ノウハウを蓄積し将来は学部でも開設】
大阪産業大学では、以前から産学官連携や大学発ベンチャーの設立などを積極的に推進してきた。特に大学側と山田教授が折半出資で設立した(株)オーエスユーは純大学発ということで注目を集めている。
◎工学研究科アントレプレナー専攻の特色
【履修科目(プロジェクト)】
●ベンチャーPBL:修了後、すぐに起業するためのプログラム
●産学連携PBL:修了後、数年を経てから起業するためのプログラム
●研究開発PBL:起業ではなく、通常の修士研究を目的とするプログラム
【主な特徴】
●修士論文作成に替わり事業計画書を作成するプロジェクト(18単位)を実施、最終的には、学生自身が実際に起業し社長になることを目指す
●工学研究科内に設立し、モノづくり(工学)を通じてMOT(技術経営)教育を実施することで、「経営の分かる技術者」を育成する
●自ら課題を設定し学習に取り組む「PBL(課題設定型学習)」システムを導入。マネジメントの実学を提供できる体制を整える
●学内の教授陣に加え、産官からも幅広く講師陣を招聘し、起業に向けた万全なバックアップ体制を整える
●社会人やシニアにも門戸を開放。平日夜間や土日祝日だけの履修でも終了できる柔軟な時間割編成を導入する
(要注意:いずれも記事執筆時点での計画) |
| 2003年11月20日(木) |
日刊工業新聞 |
大学発ベンチャーの挑戦
初の“純・大学産企業” |
■■多孔質の新素材 10分野で実用化にめど■■
「大学が出資しての純・大学産のベンチャー企業は初のケース」というのはオーエスユー社長を兼務する山田修大阪産業大学教授。自身が研究にかかわり合って23年という燃焼合成で多孔質の新素材を開発。「今、10分野での応用を見いだしており、これから企業化に入る」と力が入る。
燃焼合成法の技術が花開くまでには長い道のりがあった。80年に金沢大学大学院を終了後、大阪産大助手として身を置きながら、大阪大学産業科学研究所の小泉光恵所長(当時)の指示を受け「ロシアで開発された原理」を基に燃焼合成法の共同研究に着手。87年に日本で初めて技法を確立した。
この特許技法は、数種類の金属などを混ぜて、始めに供熱、発熱で連鎖反応を起こして燃焼合成する技術(マッチの発火と同じ現象)で、これを使い高純度の金属化合物やセラミックス粉末などを製造する。「瞬間的に燃えて化合物ができる技法にとりつかれた」という。
企業化は全国初の大学単独にこだわり、大産大が49%、山田教授が51%の出資比率で設立にこぎつけた。狙いは「教授陣が設立ノウハウに直接携わることで大学生がベンチャー企業を興す時に、我が社の利益を基金に活用できる」と想いを語る。
今、燃焼合成法で生まれた多孔質の新素材が何に使えるのか、テーマを絞り、10分野で使えるめどをたてた。実用化に向けた進め方は「マンパワーと資金力に問題があるため、プロトタイプを開発してやる気のある企業を提供してロイヤルティーを得る」ことを考えている。
実用化が期待される一つは「超高温過熱水蒸気発生システム」だ。導電性や耐熱・耐食性に優れる多孔質体の特徴を高周波加熱用ヒーターに活用し、1000度Cを越す高温過熱水蒸気の発生に成功。三庄インダストリー(東大阪)に技術移転した。ダイオキシン処理や粉体の乾燥、半導体の表面処理や医・食品の滅菌処理など用途を探る。 |
| 2003年11月18日(火) |
日刊工業新聞 |
大産大発VB・オーエスユーとアドバンス
インドの飲料水浄化支援 |
■■銀イオン殺菌法を活用■■
大阪産業大学発ベンチャー企業であるオーエスユーは、アドバンスとインドの飲料水浄化対策への支援に乗り出す。降雨量減少、貯水の腐敗を受けた飲料水の浄化対策に頭を痛めるインドの水事情に対応するもので、両社が産学連携の燃焼合成法で商品化した「銀イオンによる殺菌方法」を水質浄化に活用する。
■■産学連携の成果生かす■■
この燃焼合成法は、複数の素材を合成する際に発生する2000度C以上の科学反応熱を利用して不純物を気化し高純度の多孔質体生成物を低コストで製造するもの。山田教授が確立した技術。00年12月、大阪産業大学と共同出資でオーエスユーを設立している。
同技術を活用、商品化したチタン、銀合成のペレット状の多孔質体(直径20ミリ、厚さ10ミリ)は水中で銀イオンを放出し、バクテリアなどの微生物を殺菌する効果がある。
殺菌力は塩素に比べ約10倍で、持続効果も高く、無毒のため殺菌水として利用分野を検討していた。今回のインドの飲料水浄化は、インド総領事館とインド系商社のトラバリー商会(いずれも大阪市)が多孔質セラミックスを水中に浸けておくだけで殺菌、浄化できるという低コスト商品に関心を寄せていた。サンプルを提供、現地に送り試験する。インドの水事情は、降雨不足のため都心部では20時間の給水制限が続いている。
水道の無い地方でも水がめに貯水している飲料水が腐敗し、井戸を深掘りするとヒ素、塩分を含んだ水が出て健康を害している。 |
| 2003年11月5日(水) |
日刊工業新聞 |
独創性発揮するモノづくり
【東部大阪産業界特集】
|
■■話題の製品紹介■■
モノづくりの街、大阪府東大阪市・八尾市・大東市など東部大阪地区の企業群は、独創技術を駆使した商品開発に挑んでいる。長期不況期にあっても開発力は旺盛だ。華やかさに乏しい地味な技術がほとんどだが、顧客である産業界の生産システムを変えるほどの提案も行っており、経済貢献度も高い。この地区から今生み出され、話題になった製品を紹介する。
■■高効率の淡水化、製塩システム開発■■
オーエスユー(大東市、072-875-1594)は太陽光を使った、高効率な自然蒸発法「海水淡水化、製塩システム」を開発。増幅レンズ、光ファイバー組み合わせの集光装置と海水の吸引、蒸発には多孔質セラミックスを使用。10時間の日照で1平方メートルの海水面から1日70リットルを淡水化、3キログラムの製塩化に成功。従来技法の10倍の効率。災害時離島向け。
■■産学連携体制強める3大学■■
モノづくり中小企業が集積する街・東部大阪地区で、事前の研究開発部門がない企業にとって大学が保有する知的財産・資源への公開期待は大きい。大学側も少子化による入学者減などで厳しい環境にあり、生き残りをかけて地域振興、新産業創造に向けた積極的な取り組みを地元企業・団体と連携しながら行っている。近畿大学、大阪商業大学、大阪産業大学の活動を追ってみた。
【大阪産業大学】
◎産学連携の専用施設を完成
◎「材料」、「環境」などで貢献
大阪産業大学は産学連携の窓口を産業研究所に置き、事業を活発化させている。拠点施設は02年4月に総工費10億円を投じて完成した「新産業研究開発センター」。別途、研究開発の施設は約8億円かけて設置した。産学連携に的を絞った施設は全国の教育機関でも珍しい。
同センターは材料系を得意とし、センター内のハイテクリサーチセンターの研究は文部科学省の選定を受けた。燃焼合成法、プラズマ溶射法、イオンビーム蒸着法という三つの新技術で生み出す新素材と組み合わせ、半導体素子やオプトエレクトロニクスデバイスなどを製造する新システムづくりを目指している。 |
| 2003年11月2日(日) |
奈良新聞 |
奈高山河 80年 人々の軌跡◎13◎
理工系学者、研究者 豊かな発想、地道な探求 |
■■創立当初から学問を目指す若者が集まった奈良高校は多くの研究者を輩出してきた。現在のわれわれの生活に大きな影響を与える功績を残した卒業生も少なくない。そういった理工系分野の研究者、学者を紹介する。■■
無機材料を研究する大阪産業大学教授の山田修=昭和47年卒=新しい発想で国内初の「純大産ベンチャー企業」を立ち上げた。平成12年に自身と同大学の共同出資で新素材を開発する会社「オーエスユー」を設立、社長も務める。
研究成果の社会への還元を目的に始めたが、「産学共同の問題点は大学の基礎研究と企業が欲しいものにはギャップがあること。大学発ベンチャーはそのギャップを埋めるもの」と話す。同社の開発には学生も参加し、教育効果もあげているという。 |
| 2003年11月号 雑誌掲載 |
examiner(イグザミナ) |
産学連携と中小企業
鍵握る経営者の明確なビジョン |
■■国内外の電子機器関連企業などから超微細加工技術(ナノテクノロジー)などが注目されている東大阪市のクラスターテクノロジー(安達稔社長)。ユーザーの要望に応じ合成樹脂複合材料の開発・製造や、その複合材料からナノテクで基幹部品を開発・生産している。年商六億円、従業員四十七人だが大学院卒の人も入社する企業だ。■■
今でこそ産学連携がかまびすしくいわれているが、大阪大学の川合知二教授と有機・無機の複合体の共同研究を一九八三年に始めています。発端は中小企業としての生き残り作戦でした」と話す安達社長。
「大学を困ったときの相談所や、何かもうけるネタを探す場所と位置づけるのはどうか。やはり大学と連携して何を目指すのかが、まずありきだと思う。経営者として事業計画やビジョンをもち大学との連携に臨むことが大事」。
ある中小企業のトップが某私大が設立した産学連携組織の例会に出席したとき、ある企業の社長から「この大学と取り組んでいるが、成果なんてあがりませんよ」とささやかれたという。「どういうことですか」と聞き返さなかったがそのとき「産学連携で何を取り組むのか、何を目指すのか」を経営者がきちんと確立しておくことが大切と痛感したそうだ。
■■好機拡大に潜む落とし穴 大学選びに必要な目利き■■
来年四月から独立行政法人となる国立大学は、研究費を外部から到達することが必要になってくる。そのため関西の国立大学でも企業との連携に向けた動きが活発化している。
神戸大は「一日神戸大学」として七月に大阪・中之島センタービルでバイオ分野の研究成果六件を紹介したのを皮切りに、九、十一月、来年一月に播磨地区、尼崎、相生でも開催。大阪大は来春に国内最大の規模の産学連携組織を開設、全学の知的財産を管理し、企業との共同研究の受け皿や研究成果の事業化のための機能を集約する。企業からの技術相談などの窓口になり中小企業との連携を強化する。
一方、五月には東京大が大阪市内で「産学連携交流の集い」を開催し幅広い研究テーマを関西の企業に提示した。また東大阪市など中小企業が集積する地域との協力も打ち出すなど、大学間競争が激化している。こうした国立大学の企業との連携を積極化する動きは活性化や安定成長、さらなる発展を指向する中小企業にとって好機だ。
だが、そこには落とし穴も潜む。大阪産業大の山田修教授との共同研究で「アロマチップ」を製品化し販売した東大阪市のアドバンスの安川昭雄会長は、「三年前にトウモロコシを原料にした育苗ポットの開発で初めて関西の著名国立大学へ相談のため足を運びました。ところが相手にされず門前払いされました」と打ち明ける。
安川さんは会社勤めしていたときアメリカ駐在を経験。「シカゴの郊外でしたが、アメリカでは大学は地域との交流は当たり前で研究室にも入れました。ですから日本でもいけるだろうと思ったんですが、その国立大学の目線が中小企業に向いていなかった」と振り返る。
事実、著名国立大学だけでなく大学は「大口の資金が得られる大手企業と組みたがる」という声も聞く。そのため大学が企業との連携を強化しているといっても、中小企業との連携を前向きにとらえている大学や先生の目利きも必要になってくる。その判断基準として大阪産業大学の山田教授は「飛び込みで大学に行ったときは、相手の先生がいつごろから企業と共同研究しているか、特許をもっているかを調査すること。特許をもっていて長年、企業と共同研究している先生は受け入れる土壌があります。私学なら直接先生にもちかけることを勧めます」。
■■資金の負担軽減策に道 産学共同で補助金申請■■
「産学連携はぜひとも取り組みたいが、資金がどれだけ必要か気になる」という中小企業の経営者も多い。これについても山田教授は「お金の負担はゼロからスタートして必要になってくる段階を見通し研究費を産学共同で公的機関などへ申請すれば資金力のない中小企業は負担が軽減します」
また京都工芸繊維大学地域共同研究センター長の木村良晴教授は「中小企業が単独で研究費の補助金申請をしてもなかなか認められないが、共同研究する大学といっしょに補助金申請をすると認可されやすい」と話す。とりあえず資金面は二次的な位置づけで取り組めばよさそうだ。アドバンスの安川会長は「アロマチップの開発までに投下した資金は百万円もかかっていません。大学側と共同で補助金申請をして研究費を調達しました」という。京都造形芸術大と連携している京都を拠点に洋菓子店「マールブランシュ」を十四店展開するロマンライフの河内誠社長は「すでに商品提案などを大学からしてもらっているが、費用は実費分だけ」と大きな負担になっていない。
産学連携で重要なのは知的財産権の管理問題だ。とくに大学側の特許連携推進会議で産業界から指摘された。企業が大学のもつ特許を使用し事業化を進めようとしても周辺特許もおさえておかないと事業化が難しいことが多いといわれるためだ。これを含め共同で開発した場合の知的財産の管理など、産と学の話し合いによる取り決めなどが必要だ。
大量生産・大量消費をベースにした企業規模拡大の時代は去った。「これからはオンリーワン企業を志向する」と河内誠社長。その序曲になるとされるのが産学連携だ。そこで鍵を握るのは中小企業経営者がどこまで明確なビジョンをもち取り組めるかだ。もちろん自ら大学の門をたたく熱意。スタートは相談からでも構わない。信頼関係の醸成も不可欠なのはいうまでもない。日本経済を支えている中小企業の生き残り策として成果にむすびつけたい。 |
| 2003年11月号 雑誌掲載 |
コロンブス |
教育効果を追求する“純大学発”ベンチャー |
■■“大学発ベンチャー”が脚光を浴びている。だが、大阪産業大学教養学部の山田教授が中心となって設立したオーエスユーのように、大学そのものが全面的にバックアップしている例は、実はほとんどない。「当社の場合も、ベンチャーキャピタルなどから出資の申し出があり、個人でやろうと思えば出来ました。しかし、まずは大学が中心になってどこまでやれるかチャレンジしてみたかった。そこで民間の出資を断り、大学に働きかけたのです」と同社の社長を務める山田さんは話す。■■
設立は00年12月。大阪産業大学には、ベンチャー企業に出資した例がなく、説得に1年も費やしたとか。
山田さんが“真の大学発”にこだわる最大の理由は「営利目的だけの企業になってしまうと、学生への教育効果が薄れてしまう。それでは大学発ベンチャーの意味がない」という持論からだ。
とはいえ、本当に効果が上がるのかは、山田さん自身が疑問だったという。しかし、院生などに研究開発をやらせてみると、すぐに自らの考えが正しかったと実感する。「自分の開発したモノが実際に商品化される。学生にとって、この感動体験は何ものにも代えがたい」ものだった。モチベーションを高めた彼らは、自主的にテーマを見つけ、それこそ寝食を忘れて研究に打ち込むようになったのだ。
最も成果を上げられたのは「企業」として通用する、画期的な技術のシーズがあったから。同社の柱になっているのは、燃焼合成という科学合成を活用した新素材、特にセラミックス多孔質体だ。応用分野は環境浄化、触媒、熱交換機、ヒータ材料、蒸散機能の応用など、極めて幅広い。テーマごとに異業種の企業と共同研究を行い、すでにいくつかの最終製品を生み出している。
「現在は、産学連携のオンパレードですが、シーズを持つ“学”と利潤追求を急ぐ“産”の間には、大きな溝がある。これを埋めるのが大学発ベンチャーの役割です」と山田さんは話す。
その後、同社の成功を模範にして、大学から3社のベンチャーが誕生。来春には起業を目指す学生を対象にした「アントレプレナー専攻」を大学院に設ける。もちろん関西の大学では初となる。大阪産業大学は、大学発ベンチャーで、存在感をイッ気に増す勢いだ。はたして“純大学発”が成功するか、気になるところだ。 |
| 2003年10月号 雑誌掲載 |
examiner(イグザミナ) |
産学連携と中小企業
社会・地域貢献に動き出す大学 |
■■多孔質セラミックスをアロマセラピーに活用■■
「何か商売のヒントになるものがつかめれば・・・」。東大阪市のゴムプレス成型品製造および環境・健康・癒し関連商品を企画販売するアドバンスの安田昭雄会長は、そんな思いで大東市の大阪産業大学が開いている大学サロンに足を運んだ。二年ほど前のことだ。
そこで多孔質セラミックスをプレゼンテーションした山田修教養部教授と出会う。多孔質の梅白炭スティックでおいしい水づくりに取り組んできた安田さんは、多孔質体を使った水の浄化について相談したのを機に山田教授の研究室に出入りするようになった。そして共同研究で「アロマチップ」を製品化、この六月から商社経由と自社の販路で販売を始めた。
アロマチップは山田教授が開発した多孔質チタンセラミックスのペレットに処方した精油(アロマオイル)を二、三滴しみ込ませ、その香気をかいだりする健康・美容のための芳香療法(アロマセラピー)。
安田さんが、内部が親油性、表面層が親水性の多孔質セラミックスであれば、しみ込ませたアロマオイルの蒸散が抑えられ香りが長期間持続し、アロマセラピーに活用できるとアイデアを出したことから製品化、アドバンスに販売をオーエスユーが委ねることになった。
アロマチップは花粉症、不眠症、高血圧、ストレス、風邪、肉体疲労の六種類を処方する。希望小売価格は一種類でアロマオイル三回分、ペレット(多孔質セラミックス)一個などをセットし三千五百円。現在、同社では東急ハンズや車のコインホルダーにセットできるため自動車メーカーの販路などを開拓中だ。
■■応用研究をやっていれば「産学連携は当たり前」■■
山田教授の専門分野は無機材料科学。その中でもセラミックスを使った燃焼合成を追求、半導体や電子分野まで視野に入れたニューセラミックスの開発に取り組んでいる。「共同研究をはじめとする産学連携は二十年ほど前から取り組み、すでに企業数はかなりの数にのぼっています」と山田教授。先駆的に取り組んできたことがわかる。その理由として「応用研究をやっていれば産学連携は当たり前」という考え方によるもの。大学は教育と研究だけでなく、社会・地域貢献も大事という思考も産学連携を進める土壌となった。
アロマチップの共同研究は、山田教授と大学が折半出資した大学発ベンチャー「オーエスユー」がペレットを研究室で製造。アドバンスはその供給を受けて製品化、そして総販売元になり販路を開拓。大学はアロマオイルの効果や持続性の測定、改良を受けもつ。一般的な商売と同様、アドバンスはオーエスユーに仕入れ分を支払うだけ、売り上げの何%かをオーエスユーに支払う契約はない。
山田教授は「産学連携もまだ教員仲間の理解が完璧ではないと感じます」といい、十五年前に特許を出願したら「教師の風上にもおけん」と言われたと振り返り、「逆境に耐えてここまできた」と苦笑する。中小企業との連携については「まず、何をつくるのか具体的なテーマを決めて着手することが大事。しかも市場性があって高付加価値があるもの。この方向で進めれば、うまくいくと思っています」。 |
| 2003年8月22日(金) |
産経新聞 |
技術立国「日本の逆襲」K
大学からのアプローチ |
■■「大学発ベンチャーも地元の産業に働きかけ、積極的にかかわっていく時代になっているのです」■■
大阪産業大学(大阪・大東市)教養部の山田修教授(無機材料化学)は、大学発のベンチャー企業「オーエスユー」の代表取締役でもある。同市と隣接する東大阪市などの中小企業とは共同研究を通じて縁が深いことから、大学が持つ独自技術を「すぐに使える」産業のタネとして、企業と直に交渉したうえで製品化に結びつける異色のベンチャーを起こした。
「熱を出したり、電気を通したり、これまでにない有用な性質を持つセラミックスです」と山田教授は、わかりやすい表現で話しながら、白い塊が入ったガラス瓶を差し出した。
内部に軽石のように微小な孔(あな)が入った{多孔質セラミックス」という素材で山田教授が開発した。
熱を加えなくても、化学反応により自ら1500〜3000度の熱を出して焼き物であるセラミックスにな通常、セラミックスは電気を通さないが、この素材は電気を通す。さらに内部に無数の孔があるので、そこに、化学反応を促進する触媒の役割がある金属をつけると効率のよい触媒や環境浄化のシステムをつくることができる。耐熱性などに優れているので、1000度以上の水蒸気が出せる装置も開発した。これは、公害物質の分解など用途は広い。
この素材など大学で開発された成果を製品化のひな型(プロトタイプ)の段階にまで仕上げたうえで、東大阪など地元の中小企業のニュービジネスに役立ててもらおう、というのだ。
平成10年の「大学等技術移転促進法(TLO法)」の施行などで、大学ベンチャーが全国各地で発足している。平成12年に発足した大阪産大のベンチャーは大学と大学関係者だけで出資する全国でも珍しいパターンだ。とはいえ国立大学の独立法人化で大学ベンチャーが急増することが予想されるだけに、生き残りをかけた作戦でもある。
「開発した大学側が企業と直接、素材の用途などを示してお互いに議論を重ねていくと理解が深まり、ビジネスチャンスも見つけやすくなります」と山田教授。
すでに製品化されているのはセラミックスの孔に香料を入れた芳香剤。効き目が従来の三倍は長持ちするという。
TLO法施行前の平成9年に近畿大学、大阪産業大学、関西大学、奈良先端技術大学など五大学・研究機関に参加を求め「大学等技術推進協議会」を発足した。 |
| 2003年7月 雑誌掲載 |
TECHNO
MAGAZINE |
国内第1号の純大学発ベンチャー企業 |
■■国内第1号の純大学発ベンチャー企業■■
燃焼合成による高機能セラミックス多孔質体を開発 |
| 2003年6月2日(月) |
循環経済新聞 |
燃焼合成でDXNなど分解
1000度以上の高温反応 |
■■大阪産業大学などが出資するベンチャーのオーエスユー(大阪府大東市、山田修社長)は複数の元素を高温発熱反応によって化合させる燃焼合成を、ダイオキシンなど有害物質の分解に応用する技術を開発した。■■
燃焼合成の際に発生する1000度以上の熱を利用し高温水蒸気を生成、焼却炉などで発生する有害物質を高温分解するという。今年中に実用化を検討中。
同社は燃焼合成によって生成される多孔質セラミックスの実用化などを行ってきた。多孔質セラミックスは炭化チタン(TiC)を燃焼合成させたもので、金属並みの良好な導電性と、耐熱性・耐食性を兼ね備えている。また気孔率は50%以上で、特異な3次元網目構造のため、液体を高速で吸い上げる性質を持つ。
その多様な性質から、これまでロケットエンジン用触媒、海水の淡水化や製塩システム、アロマチップなど幅広い分野に活用されてきた。
オーエスユーは大阪産業大学と同大学の教授でもある山田修社長の共同出資で2000年12月に設立した。同大学は他にも受託・共同研究に関して大学と企業の橋渡しを行う産業研究所などを創設、ベンチャー支援を積極的に行っている。 |
| 2003年5月25日(日) |
朝日新聞 |
挑む起業家たち
大学発、学生に経験伝授 |
■■大阪産業大学教養部の山田修教授が、研究テーマのセラミックス新素材の開発を手がける「オーエスユー」(本社・大阪府大東市)を設立したのは2000年末。研究成果を社会に還元しようという思いが出発点だった。■■
会社名を大学の英語名の頭文字(0SU)からとったのにはわけがある。大学の全面支援を得るため、資本金1千万円のうち、自己負担を除く940万円を大学に出資してもらったからだ。当時、大学がベンチャー企業に出資した例は見あたらず、「前例がない」と渋る大学側を「大学の独自性につながる」と1年がかりで説得した結果だった。
大学が出資したベンチャーとして注目され、山田教授はビジネスフェアへの展示や起業家向けの講演に年間数十件招かれるようになった。食品や環境装置など専攻分野以外の企業が技術に興味を持ち、研究室を訪れるようになった。「研究者と違って、企業はよい素材の使い道を具体的に提案しないといけない。専攻以外の人と話すことで、新たなアイデアが生まれてきた」という。
山田教授が開発した「セラミックス多孔質体」は3次元の網目状をした多孔質構造で、水分をよく吸う。通常のセラミックスと違って電気の伝導性が高く、軽量で耐熱性も高い。1000度近い高温の加熱ヒーターの材料や、燃料電池の電極、エンジンの触媒などに用途が見込めるといい、地元企業10社と共同開発を進めている。一部は製品化も始まった。
03年度は開発業務や新素材の製造、販売を柱に約3千万円の売り上げ目標をたてている。できるだけ早く1億円に乗せるのが当面の目標だ。
教官として、物理学など週12時限の講義を受け持つ。自分が蓄えた企業の経験を教育にも役立て、次代のベンチャー人材を育てることが夢だ。
オーエスユー設立後、大学側もベンチャー創出に熱心になり、大学が出資して学生が社長を務めるベンチャー企業も2社生まれた。「学生も自分の研究が製品につながると知ると目つきが変わる。いい動機付けになる」。事業を伸ばすとともに、自分の経験を学生への教育にどう生かしていくか。その仕組み作りを考えることが頭を離れなくなった。 |
| 2003年5月22日(木) |
日刊工業新聞 |
「見てある記」
ビジネス&テクノロジー2003関西
環境配慮の技術・製品一堂に
|
■■多彩な分野で適用■■
環境ビジネスフェアに出展しているデナロ(東京都千代田区)は、ガソリンベーパー回収システムを展示。ガソリンスタンドの地下タンクから通気管を通じて蒸発するガソリンベーパーを回収、地下タンクに戻す。蒸発するガソリンは0.28-0.3%で、月間350キロリットルを販売するガソリンスタンドの場合、年間100万円以上の損失を改善できるという。
大阪産業大学と、同大学発ベンチャー企業のオーエスユー(大阪府大東市)は、燃焼合成によるセラミックス多孔質体を紹介。同多孔質体は金属並みの導電性、各種液体を高速で吸い上げる、さまざまな化合物・金属との複合化が容易などの特徴を持つ。電極材料、触媒、ヒーター材料など多彩な分野での適用が期待されている。 |
| 2003年4月24日(木) |
産経新聞 |
温もり伝える手づくりの数々
「ハンズ大賞大阪作品展」 |
■■「手づくり作品」の入賞・入選作品を集めた「第18回ハンズ大賞大阪作品展」(東急ハンズ主催)が29日から5月5日まで、大阪市中央区のIMPホール(大阪ビジネスパーク内)で開かれた。■■
今回は、昨年7月から11月までの間に寄せられた2701点の応募作品のうち、入賞・入選作144点を展示。完成度の高い作品が目立ち、今回は自然素材などを使った、癒しや温もりを感じさせる作品が多かったという。
グランプリは新潟県の自営業、神田修さんの『CYCLOPS』が受賞した。
関西地区では、大阪府の大阪産業大学・山田修研究室一同(48歳教師、23歳大学院生)の『塩の木』が審査委員特別賞・浅井愼平賞/和歌山県の田中裕子さん、中村真子さん、末永彩さんの小学3年生3人組の『つづら織り』がジュニア・ハンズ大賞/兵庫県の清水幸子さんの『The 恐竜』と、京都府の奥村啓子さんの『赤い角』がハンズ・マインド賞にそれぞれ輝いた。 |
| 2003年4月18日(金) |
NHK総合 |
にんげんドキュメント
「町工場、宇宙への夢〜東大阪・人工衛星プロジェクト」 |
| 町工場の密集地・東大阪では、不況で多数の工場が倒産している。そんな中、金属加工業を営む青木豊彦さんを中心に、小さな人工衛星を作る計画が立案された。困難の中、夢に立ち向かって進む人々に密着する。 |
| 2003年4月7日(月) |
日刊工業新聞 |
アロマ効果2カ月以上
花粉症用など芳香剤6種 |
■■【東大阪】アドバンス(大阪府東大阪市、安川昭雄社長、0729-63-2717)は5月から花粉症などの発症抑制をねらったアロマテラピーによる長寿命天然芳香剤「アロマチップ=仮称」を発売する。■■
大学発ベンチャーのオーエスユー(大阪府大東市、山田修社長=大阪産業大学教授、072-875-1594)と共同で開発した。価格は3500円からの予定。
ラベンダーなど液状の香り成分をオーエスユーが開発した多孔質セラミックスに含浸。通常、瞬時に霧散する香りが2カ月以上は持続するようにした。
オーエスユーが開発した同セラミックスは燃焼合成による炭化チタン。大気中で燃焼合成することで、表面に酸化チタン被膜を形成する。酸化チタン被膜が香りの蒸散速度を遅らせ芳香の持続性を高める。
アロマチップは成分のバリエーションによって、花粉症、不眠症、風邪、肉体疲労、高血圧、ストレスなどに対応する6アイテムをそろえる。1日に数回アロマチップが放出する香りをかぐ。
代表的なアロマテラピーはハーブ系のラベンダーやペパーミントなど。フランスやベルギーでは、風邪や不眠症などの治療に使用されているという。 |
| 2003年2月21日(金) |
日経産業新聞 |
大学がベンチャービジネスに出資 |
■■大阪産業大学は大学発ベンチャー3社に出資するなどベンチャー創出に積極的に取り組んでいる。出資3社のう2社は大学院生が社長を務めるなど、学生がビジネスを実体験する場としても機能している。■■
大産大がベンチャー創出と関わりを持つきっかけとなったのが、セラミックス関連技術開発のオーエスユー(大阪府大東市、山田修社長)。2000年12月に設立された大産大初の大学発ベンチャーだ。社長の山田教授は創業前に大学へ出資を打診した。
「当時は大学側に担当の窓口がなかったうえに、理事会で認めてもらう準備も必要だった」(山田教授)ので、大学から出資を受けて会社を設立するまでに約1年かかった。しかし大学発ベンチャーを作ってみると予想以上に外部の反響が大きいことが判明。今度は大学自ら創業支援に乗り出した。
中山英明・大産大常務理事は「ベンチャー創出には教育効果、宣伝効果など副次的な効果が期待できる」とみており、黒字経営が可能と判断すれば今後も出資に応じていく方針。
大産大が全国の高校に配布するパンフレットには、大学院生とベンチャー企業の経営者を兼ねる山崎、大橋両社長を「(学生、社長の)二足のわらじ」として大きく紹介している。ベンチャー創出に熱心な大学というイメージ作りにも取り組んでいる。
大産大の中村康範教授が同志社大学や大阪工業大学の教授らとともに設立した鍛造成型解析のロバスト・エンジニアリング(大阪府枚方市、赤松雅巳社長)のように、大学からの支援を受けない企業も出てきた。
ただこれまでに出資した3社は近い将来、株式公開が見込めるわけではない。事業化できる有望な技術を抱えている研究者は学内にそれほど多くないとの見方もある。大産大発ベンチャーをさらに増やし伸ばしていくためには大学の積極的な関与が必要になりそうだ。 |
| 2003年2月12日(水) |
日刊工業新聞
|
5Pの海水から日照5時間で
4Pの真水と塩150K
オーエスユー 太陽光「海水淡水化・製塩システム」
多孔質セラ使い高効率 |
■■大学発ベンチャー、オーエスユー(大阪府大東市、山田修社長=大阪産業大学教授)は、独自開発の多孔質セラミックスが持つ強力な毛細管現象を活用し、太陽エネルギーによる高効率の「海水淡水化・製塩システム」を開発した。■■
日照時間10時間で、1平方メートルの海水面から1日70Pを淡水化できる。これまで、太陽光を使った自然蒸発法ではトルコの1日6.7Pが最高だったが、新システムは10倍以上の高効率となった。災害時や離島を想定したコンパクトな海水淡水化装置を検討している。
【災害時や離島想定 コンパクト装置検討】
太陽を増幅するレンズと光ファイバーによる集光装置で高率アップを図った。海水の吸引、蒸発には表面が酸化チタン(TiO2)、中が炭化チタン(TiC)の燃焼合成で製作した多孔質セラミックスを使用。同セラミックスは空隙率50%で、中は3次元網目構造の孔となっている。
|
| 2002年11月12日(火) |
中日新聞
|
大学ベンチャーが今、熱い。 |
■■大阪府大東市の大阪産業大学(OSU)では、大学と産業界が資金や起業面などでベンチャービジネスを支援。学生達は「人生が変わった」と目を輝かせる。若者を本気にさせ、成長させる仕掛けとしても効果は大きいようだ。■■
大産大発のベンチャーはDMFも含めて計四つ。同大初のベンチャーはセラミック素材を合成する技術を素に起業した「OSU」で、社長は教養部で物理を教える山田修教授(48才)。超高温耐熱性や電磁波吸収など、特殊な性質の素材を用いた新商品の開発を目指す。 |
| 2002年11月6日(水) |
日刊工業新聞
|
樹脂用の「ナノ金型」
微細回路の量産可能に
大阪産業大学の田中武雄、山田修両教授の協力により・・・ |
■■クラスターテクノロジー社は樹脂基板などに幅70ナノE、深さ50ナノEの溝を縦横に形成することができる「ナノ金型」を開発した。樹脂成形用金型では、これまで数マイクロE級の微細化を達成していたが、一気にナノ級を達成。これによりナノサイズの樹脂製の次世代電子回路や光コネクターの基板、バイオ解析回路の量産が可能となる。■■
大阪産業大学の田中武雄、山田修両教授の協力により、集金イオンビーム(FIB)を使い同金型レベルを実現した。マスター金型をシリコンで製作しニッケルメッキを施し、これをはく離する方法。製作には特にFIBのヘッドの角度制御に苦心した。
金型は2@角で、金型としての強度を確保するため厚みは10@程度にした。同ナノ金型の誕生により、樹脂製の電子回路で毎時4万8千個程度の量産につながる。
成形法は射出成形か、フィルムシートに熱をかけ金型にプレスする「スタンパー方式」を検討。成形品の素材は高密度回路特有の電気抵抗熱に対応するため、耐熱特性の高いポリイミド系樹脂かフィルムを使用。
溝には電子回路の場合は金属微粒子を、バイオの解析回路ではデオキシリボ核酸(DNA)やたんぱく質の微粒子を流し込み触媒効果を高める。この流し込みにも独自のナノ噴射技術を用いた。 |
| 2002年11月1日(金) |
日経産業新聞
|
インクジェット、一段と細密に
1吐射フェムトリットル単位可能 |
■■クラスターテクノロジー社はシリコン材料に直径20ナノEの穴を開けることに成功した。この技術を応用すると、一吐射がフェムトP(フェムトは千兆分の一)水準のインクジェットの開発が可能になるという。■■
半導体製造に使う集束イオンビーム(FIB)を使い大阪産業大学の田中武雄、山田修両教授と共同で手がけた。穴の深さは1マイクロE(マイクロは百万分の一)。これまでは直径100ナノE程度までが限界だったが、加工手法の工夫で実現した。
同社は一吐射当たり1ピコP(ピコは一兆分の一)のインクジェットヘッドを開発。今後、同フェムトP単位のインクジェットヘッド用のノズルを開発し、線幅70ナノE以下の半導体回路の開発やバイオチップなどへの応用に取り組む。 |
| 2002年8月7日(水) |
日刊工業新聞
|
真水転換大幅アップ
太陽エネルギーで海水淡水化 |
■■(株)オーエスユーは太陽エネルギーによる自然蒸発法で真水への転換能力を大幅に引き上げる海水淡水化技術の開発にめどをつけた。■■
独自開発の多孔質セラミックスに生じる毛細管現象によって、海水の蒸発能力を高めた。日照時間10時間を前提に、1平方Eの海面から1日に35Pに及ぶ真水の所得が可能になるという。これまでトルコで同6.7Pの自然蒸発法(ベイスン型法)による真水転換の記録があり、これを大幅に更新する。
同多孔質セラミックスは燃焼合成によって製作した炭化チタン(表面は酸化チタン)で3次元網目構造となっている。平均孔径は10マイクロ-50マイクロEで、この細かい3次元網目構造が強力な毛細管現象を創出する。
同社は直径30Bの海水面に直径6B、高さ20Bの同多孔質セラミックスを5本立てた。これらをガラス容器に入れ、太陽エネルギーにより海水から蒸発した水滴を一定の方法で採取した。
これで日照時間10時間で1日2.5Pを安定的に採取できた。こうした安定採取から海水面を1Fに拡大すると、35Pの真水転換は可能としている。
海水淡水化法には、自然蒸発法のほか、加熱蒸発や真空蒸着法、逆浸透膜法、電気透析法などがある。自然蒸発法の魅力はエネルギーコストが唯一、不要なこと。
(株)オーエスユーは大阪産業大学発のベンチャー。同研究開発は、経産省から即効型地域新生コンソーシアム研究開発事業の指定を受けた。 |
| 2002年4月30日(火) |
日本工業新聞
|
多孔質で表面積より大きい
電解水精製装置向け 白金より低コスト |
■■大阪産業大学教養部の山田修教授、生産システム工学専攻の松本弘司教授らの研究グループは、独自の燃焼合成法で多孔質電極を開発した。■■
多孔質のチタン系非酸化物セラミックス電極を開発した。多孔質で表面積が大きいため効率がよく、電極を小型化できるほか、現状の白金を使う電極に比べて材料や製造の面で低コストが見込める。白金の弱点である強酸性や強アルカリ性など水素が発生しやすい溶液中でも劣化しない。すでに大手家電メーカー数社から電解水精製装置などの電極用に引き合いがあるという。
新たなセラミックスの燃焼合成法は、金属チタンと窒化ホウ素や炭化ホウ素の粉末を混ぜてプレス成形し、端面をレーザーなどで加熱して着火する。化学反応によって3000℃近い高温で連鎖的に反応し数秒で焼結が完了する。アルゴンなど不活性気体中で反応させると、窒化チタンと炭化チタンやホウ化チタンの多孔質のセラミックスができる。
絶縁体の酸化物セラミックスとは異なり、金属並みに電気を通す点が大きな特徴。 |
| 2002年4月17日(水) |
日刊工業新聞
|
体積1/10、寿命2倍
オーエスユー非酸化物セラ利用 |
■■(株)オーエスユーは寿命が従来の2倍以上という非酸化物セラミックスによる電解水用電極材を開発した。■■
3次元網目構造の多孔質体のため表面積が極めて大きく、電極材料の体積を従来の1/10以下にできる。寿命が2倍になるため、コストも白金メッキのチタンと同等になる。
ホウ化チタンと窒化チタンを燃焼合成で製作した複合材料で、セラミックス特有の高耐食性を持つ一方、非酸化物であることから導電性も確保できる。高耐食性と導電性の両立によって、従来の電極材料である白金メッキで表面処理したチタンより耐久性で大幅に上回る。
食品の殺菌などに使用する電解水の製造には、希塩酸や食塩を含有させて殺菌力の強い次亜塩素酸を創出する。この際、塩素が電極材料を劣化させる一方、電気分解で水素がチタンに溶け込むこともある。
このため、金属中最も耐食性が高いとされるチタンに白金をメッキしても寿命は50000時間が限界という。
これに対して、ホウ化チタンと窒化チタンの非酸化物セラミックスは、耐久性実験で1万時間以上の寿命を確認した。気孔率50%、平均細孔径50マイクロmという多孔質体であるため、電極材料の体積を大幅に小型化できる。
化学反応熱を利用して化合物をつくるのが燃焼合成。2種類以上の元素を混合した上でレーザーや放電熱を与えると、その部分が化合物となり3000℃という高温を発する。それから周辺に化学反応が次々と連鎖して化合物ができあがる。同社は大阪産業大学発のベンチャー。 |
| 2002年2月22日(金) |
日経産業新聞
|
ナノ水準の円すいの穴
シリコン上に加工 |
■■クラスターテクノロジー社はシリコンにナノm水準の逆円すい形の穴を加工することに成功した。■■
新技術は大阪産業大学の田中武雄、山田修両教授と共同開発した。分子レベルの遠心分離や誘電泳動に使うナノ実験器具の微小加工に活用できるという。
穴のシリコン部分の直径は800ナノm、深さは15マイクロE。ガリウムをイオンビーム源にした集束イオンビーム装置を使って実現した。深さは3ー4マイクロmなら直径200ー300ナノm、深さがそれほど必要なければ直径100ナノmの逆円すい形の穴を加工できる。
従来、こうした超微細加工はレーザー加工機を使っていたが、直径10ー20マイクロm程度が限界なうえ、穴の周囲が溶解してケロイド状になる課題があった。ガリウムイオンビームは分子レベルで掘り崩すため、深く滑らかに加工可能。逆円すい形の頂点部分を切断し、一分子の動きを観察することもできるようになる。
新薬開発や遺伝子解析などでは分子レベルでの合成・分解、解析が欠かせず、そのためにはナノ水準の技術を駆使した実験器具が必要。クラスターテクノロジー社はバイオテクノロジーとナノテクノロジーを融合した”バイオナノテク”の基礎技術になると見る。 |
| 2002年1月24日(木) |
日刊工業新聞
|
活発化する大学発ベンチャー
大阪産業大学のオーエスユーテクノロジー |
■■「ベンチャーを起こして本当によかった。研究者と実業家の2足のワラジを履いたことで、情報量が増えニーズがよく見えるようになった。今年は第1号商品を市場に投入しますよ」と意気揚々なのは、日本における大学発ベンチャーの先駆けである(株)オーエスユー(大阪府大東市)の山田修社長(大阪産業大学教授)。■■
(株)オーエスユーは2000年12月、大阪産業大学と山田教授の共同出資(資本金1000万円)で設立。事業内容は燃焼合成やセラミックス系の新素材の商品化だ。
燃焼合成は複数元素の発熱反応によって第3の化合物を創出する技術。金属同士だと金属間化合物が生まれ、元素特性を合金よりも高めることができる。炭化チタン(TiC)などセラミックス系の材料も燃焼合成でチタンと炭素の特性を継承する。
同社のTiCは、空隙率が50%という特徴を併せ持つ。第1号商品として市場に投入するのはこのTiC多孔質材料。水質浄化を目的としたバイオリアクターとして商品化する計画が進んでいる。
山田社長は時折、大学の教員に何ができるのかという冷たい視線を背中に感じるというが「何としても事業を成功させたい。負けるわけにはいかない」気迫十分だ。 |
| 2002年1月21日(月) |
日刊工業新聞 |
酸化チタン光触媒可視光領域でも反応
多孔質生かし微生物増殖 水質浄化に応用 |
■■(株)オーエスユーは可視光領域でも機能する酸化チタン(TiO2)光触媒を開発した。■■
大気中で炭化チタン(TiC)を燃焼合成すると、表面に酸化チタンの被膜が形成されると同時に酸化チタンの酸素が一部、窒素に置換される。その際に酸化チタンの結晶構造が変わり、可視光でも光触媒反応が起きる。母材である炭化チタンの空げき率50%という多孔質を生かして微生物を増殖し水質浄化のフィルターに応用するなど、光触媒と微生物処理の両面から汚濁物質の分解や除去に利用する。
3000℃近い高温発熱反応で化合物を製作するのが燃焼合成。不純物の混入を防ぐため、アルゴンなど不活性ガス中で合成することが多い。しかし山田社長は酸化チタン皮膜を形成するため、大気中で炭化チタンを合成した。その結果、酸化チタンの酸素の1%程度が窒素に置き換わった。燃焼合成による化合物は3000℃近くの高温から数秒間で500℃まで急激に温度が下降する。この激しい温度変化が窒素を残存させ結晶構造を変えた。
温度の下降が緩慢であれば、チタンと酸素が安定した化合物であるため、窒素が残る余地はなかった。温度の急低下で窒素が残り、紫外線に比べエネルギーの弱い可視光下でも触媒機能を発現させる。
山田社長は可視光下の触媒、有機物質の分解機能を実証するため、200ccの蒸留水に20mgのメチルオレンジ色素と表面積が100Cに及ぶ酸化チタン被膜に包まれた炭化チタンを投入した。その結果、72時間でメチルオレンジは当初の1%以下に落ちた。
(株)オーエスユーは大阪産業大学発のベンチャー。同大と山田社長の共同出資で2000年12月に設立した。 |